ソロ海外遠征 フィリピン編
まず初めに書いておくが、本記事はあまり面白くないと思う。なぜなら、私としていい思い出の旅ではないからだ。目的物は見つけ出せたが、その他があまりにも薄くて話にならない。どこにも出すことができず、ここに書き綴るものとして認識してほしい。
環太平洋のオカヤドカリ類を探すにあたって、鬼門の一つがアカツキオカヤドカリCoenobita pseudorugosus であった。本種は2023年頭時点では記載論文以外にまともな情報が無く、論文のスケッチとインドネシア人が根拠なくUPしている写真のみという状態だった。
本種を解き明かすにあたって参考となる情報をピックアップすると、
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ナキオカヤドカリにとても似ていて、オスの生殖突起を見ないと判別が難しいこと。
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タイプロカリティがフィリピンのセブ島であること。
これらを踏まえると、確実にいるはずのセブ島に行って片っ端から生殖突起を見ることが最善手だと考えた。「セブ島」は聞いたことのある人も多いと思う。フィリピンの代表的な観光地で、曜日によっては日本からの直行便も就航している。セブ島は細長い形をしており、中央東側に隣接するマクタン島にセブ国際空港は位置する。
この遠征企画における条件は次の通り。
①3連休に1日有給休暇を付けて3泊での渡航とする。
②レンタカーは借りず、徒歩でのフィールドとする。
③外務省が危険度レベル1を指定しているため、あまり森側のひとけのないフィールドにはいかない。
それらを踏まえると、オカヤドカリ類以外をスコープに入れるのはかなり難しく感じた。そんな条件だと同行者が集まらない。必然的にソロ遠征となった。ソロならリゾートホテルに泊まるのも虚しさがあるため、フィールドと程よい距離の海から少し離れた安めのホテルにでもしよう。空港からの移動も踏まえると、セブまで行かずにマクタンで済ました方が楽かも。などなど考えながらフィリピン遠征の計画を深めていった。
ソロ海外遠征(旅行)なんてよく行くね、と言われたりもする。同行者がスパッと決まればそれで良し、うだうだ決まらなければソロで行けば良いだけの話。見たいものを見にいくことが目的であって、同行者有無は手段でしかない。同行者有りという手段が取れないなら、別の手段である同行者無しを取れば良い。まぁ、私も無理に一人で行くべきとは思っていない。それをやれるかは能力の差でもあるので。
フィリピン遠征1日目
2023年3月セブ(マクタン)に到着した。タクシーで空港から島内南東へ向かう。思ったより時間がかかり、タクシーの運転手がVery far...Very far...と文句を言い始める。わかったから。ちゃんと距離分を払うんだから。(多分言いたいことは大変だから色つけろということだろう)
ホテルに着いた時にはもうとっくに日が暮れていた。早々にフィールドへ向かう。ホテルからは2kmの距離だ。歩いていくとだんだん雰囲気が怪しくなっていく。あんま良くない感じだなぁ、と勘がささやく。こういう時の個人的なスタンスは、Heyと声を掛けられても、歩みを止めずにHiと返して進むこと。そして、人の目のあるところでスマホを見て道を確認しないこと。行きなれているような、所謂こなれ感を出しながら目的地へキョロキョロせずに胸を張って少し早歩きで進むこと。
舗装路が土の道となり、街灯もなくなり、海っぽいところへ出た。そこにかかる簡素な竹の橋を通り、マングローブを突っ切る謎の道を進んだ。これ本当に大丈夫なのだろうかと何度も思った。
そうして着いた先は良い感じの海岸だった。己のポイント選定の眼に狂いなし。しかし、真っ暗なのに人の気配がする。こういう時はちょいと通りますよ感を出してライトを点けずにあえて足音を立てて通る。暗いから向こうもこっちが外国人か判断できない。少し行って人のいないあたりでオカヤドカリ探しを始める。まばらにだが、ナキオカヤドカリ?が見つかったため、捕まえては身を少し引き出して第五胸脚底節を確認する。1匹目,雌。2匹目,雌、3匹目,小さすぎる、4匹目,オスだが左右に明瞭な差が見受けられないためこれは、、、ナキっぽいな。5匹目,雌、6匹目で心臓がドクンと跳ねた。
記載論文で見たとおり、明瞭に突起の右が長い。これだ、これがアカツキだ。よしよしよし!と小さくつぶやいた。じっくりと観察をしたが、なんとなくナキとは雰囲気が違う気もしてきた(急に解像度が上がる)。活動可能な範囲が狭かったものの、必要数のアカツキの写真は撮りためることができそうだ。時折通りかかる人に何をしていると声を掛けられたが、カニの写真を撮っていると答えると、ふ~んと興味なく通り過ぎていった。数を見ていくと、メスもこれは多分アカツキだろうなというのもわかってきた。初日にて目的が達成されたことで安堵感に包まれる。なんだかんだ言っても危険度レベル判定のある地でソロ夜フィールドをするのは精神的負荷も大きい。充分な写真を撮り、部位写真の撮影のため何匹か捕獲して帰路につく。
帰路では野犬集団に遭遇して吠えられた。フィリピンは狂犬病の感染件数が多めだ。勘弁してほしいが、海外での夜フィールドは野犬がつきもの。舐めてんじゃねぇぞと毅然とした態度で通り過ぎるしかない。か弱さを出すと助長させるので。
フィリピン遠征2日目
2023年3月セブ(マクタン)に到着した。タクシーで空港から島内南東へ向かう。思ったより時間がかかり、タクシーの運転手がVery far...Very far...と文句を言い始める。わかったから。ちゃんと距離分を払うんだから。(多分言いたいことは大変だから色つけろということだろう)
ホテルに着いた時にはもうとっくに日が暮れていた。早々にフィールドへ向かう。ホテルからは2kmの距離だ。歩いていくとだんだん雰囲気が怪しくなっていく。あんま良くない感じだなぁ、と勘がささやく。こういう時の個人的なスタンスは、Heyと声を掛けられても、歩みを止めずにHiと返して進むこと。そして、人の目のあるところでスマホを見て道を確認しないこと。行きなれているような、所謂こなれ感を出しながら目的地へキョロキョロせずに胸を張って少し早歩きで進むこと。
舗装路が土の道となり、街灯もなくなり、海っぽいところへ出た。そこにかかる簡素な竹の橋を通り、マングローブを突っ切る謎の道を進んだ。これ本当に大丈夫なのだろうかと何度も思った。
そうして着いた先は良い感じの海岸だった。己のポイント選定の眼に狂いなし。しかし、真っ暗なのに人の気配がする。こういう時はちょいと通りますよ感を出してライトを点けずにあえて足音を立てて通る。暗いから向こうもこっちが外国人か判断できない。少し行って人のいないあたりでオカヤドカリ探しを始める。まばらにだが、ナキオカヤドカリ?が見つかったため、捕まえては身を少し引き出して第五胸脚底節を確認する。1匹目,雌。2匹目,雌、3匹目,小さすぎる、4匹目,オスだが左右に明瞭な差が見受けられないためこれは、、、ナキっぽいな。5匹目,雌、6匹目で心臓がドクンと跳ねた。
記載論文で見たとおり、明瞭に突起の右が長い。これだ、これがアカツキだ。よしよしよし!と小さくつぶやいた。じっくりと観察をしたが、なんとなくナキとは雰囲気が違う気もしてきた(急に解像度が上がる)。活動可能な範囲が狭かったものの、必要数のアカツキの写真は撮りためることができそうだ。時折通りかかる人に何をしていると声を掛けられたが、カニの写真を撮っていると答えると、ふ~んと興味なく通り過ぎていった。数を見ていくと、メスもこれは多分アカツキだろうなというのもわかってきた。初日にて目的が達成されたことで安堵感に包まれる。なんだかんだ言っても危険度レベル判定のある地でソロ夜フィールドをするのは精神的負荷も大きい。充分な写真を撮り、部位写真の撮影のため何匹か捕獲して帰路につく。
帰路では野犬集団に遭遇して吠えられた。フィリピンは狂犬病の感染件数が多めだ。勘弁してほしいが、海外での夜フィールドは野犬がつきもの。舐めてんじゃねぇぞと毅然とした態度で通り過ぎるしかない。か弱さを出すと助長させるので。