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ヌマエビ科  -Atyidae-

 ヌマエビ科は熱帯から温帯にかけて広く分布するエビ分類群である。淡水域に生息し、小型な種が多い。河川や湖沼だけでなく、地下水や洞窟内の陸封潮溜まりに生息するものも存在する。生活史は大きく2つに分けられ、ゾエア幼生で孵化し変態するものと、稚エビで孵化する直達発生のものがいる。直達発生種は陸封型の純淡水性で、ゾエア幼生から変態する種は幼生期を海で過ごす両側回遊性である。と言いたいが、陸封純淡水性でもゾエア幼生で孵化する種もいる。あとヌマエビ類のこういう写真撮るの時間かかるし、凄くストレス溜まる。写真未揃
トゲナシヌマエビ♂
トゲナシヌマエビ♀
トゲナシヌマエビ抱卵メス
トゲナシヌマエビ額角

トゲナシヌマエビ

 Caridina typus H. Milne Edwards, 1837

​ 両側回遊性の生活史を持ち、幼生期の分散能力と遡上能力が高く、分布域が広い。太平洋側は千葉県以西、日本海側では福井県以西で見られる。低温耐性は低めであると考えられる。額角は短く、上辺に棘がない。ゆえにトゲナシの和名を持つ。遡上能力の高さは脚力にも現れており、水上を歩くことができる。網で掬うと起き上がり、網目をよじ登って脱出を図る。
 河川のどの流程でも見られるが、季節と地域で大きく変わると思われる。夏場は放幼のため、抱卵雌が河口側に集結しているのを観察した。夏前では上流域で集中して採集された。
 体色の個体差が大きく、透明や青色、茶色、そして背には縦線や横線、無模様などが見られる。種判別には丸みのある体格と、何と言っても上辺に棘のない短い額角を見るのが有効である。
ヒメヌマエビ♂
ヒメヌマエビ♀
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ミゾレヌマエビ♂
ミゾレヌマエビ♀
ミゾレヌマエビ額角
ミゾレヌマエビ抱卵メス

ミゾレヌマエビ

 Caridina leucosticta Stimpson, 1860

​ 両側回遊性の生活史を持ち、幼生期の分散能力、遡上能力ともに並。太平洋側は千葉県以西、日本海側では秋田県以南で見られる。低温耐性はぼちぼち高めであると考えられる。額角上辺の棘の連続が先端付近で途切れる。どの流程でも見られるが、中下流では特に多い。西日本では優占種だと言える。場所によっては本種しか網に入らないなんてことがザラにある。
 全身に白点を散らしたような個体が見られることからミゾレの和名が付いているが、体色はかなり多様。細身で、背部が盛り上がるように腰が曲がっている。頭胸甲に逆ハの字模様、上から見ると眼柄がV字、額角先端付近上辺で棘が途切れるなどが同定形質。もっとも、形態的に近い種がいるため種判別には注意が必要。特に変わった特徴がない普通のエビという感じ。

ヒメヌマエビ

 Caridina serratirostris De Man, 1892

​ 両側回遊性の生活史を持ち、幼生期の分散能力は並で遡上能力は低い。太平洋側は千葉県以西、日本海側では石川県以西で見られる。低温耐性は少し高めであると考えられる。額角上辺の棘は頭胸甲まで続く。遡上能力が低いため、河川中下流で見られる。水流の弱い隠れるものが多い場所にいるため、落ち葉の溜まった辺りに網を入れると採りやすい。小型種である。
 そこそこ勢いのある小さな滝くらいになると遡上できなくなるようだ。しかし、わりと上流でも網に入って驚いたこともある。
 体模様は大きく2タイプあり、背に明るい縦線が入るものと虎柄のものが見られる。体色は野外においては褐色だが、捕獲の刺激や水槽に入れると透明感が増したり、青色や赤色に変化することが多い。その模様からNinja shrimpの英名がある。
ヤマトヌマエビ♂
ヤマトヌマエビ♀
ヤマトヌマエビ額角
ヤマトヌマエビ抱卵メス

ヤマトヌマエビ

 Caridina multidentata Stimpson, 1860

​ 両側回遊性の生活史を持ち、幼生期の分散能力と遡上能力が高く、分布域が広い。太平洋側は千葉県以西、日本海側では鳥取県以西で見られる。低温耐性はまずまずであると考えられる。額角は短めで角ばっており、棘が連続している。遡上能力が高く、河川上流で見られる。流れのある石の下などにおり、水から出て移動することもある。大型種で、かなり体格が良い。
 体側面に特徴的な赤斑があるため、種判別は容易である。体色としては透明や青色、茶色が見られる。尾扇に青と白の模様の入る個体が多い印象を受ける。
 水槽のコケ取り能力が非常に高く、掃除要員として重宝されている。ADAによって海外にも広く知られたことからAmano shrimpとも呼ばれる。飼育の際は飛び出し注意。
ミナミヌマエビ♂
イキシマカワリヌマエビ♂

イキシマカワリヌマエビ

イキシマカワリヌマエビ♀

 Neocaridina ikiensis Shih, Cai, Niwa & Nakahara, 2017

​ 陸封で直達発生型の生活史を持ち、開発などで降河できない環境になっても個体群維持が可能。壱岐島のみで見つかっている。低温耐性はまずまずであると考えられる。額角はカワリヌマエビ属の中では短めで、眼柄後方の棘数は2〜4程である。小河川や農業用水路などで見つかっており、まだ発見地点は僅かである。いる場所では個体数は多いが、減っているところもあるそうだ。
 カワリヌマエビ属の例に漏れず種判別が非常に難しい。体色としては薄茶色から黒褐色が多い。斑や線が僅かながら入る。小型種であり、15 mm程度の個体が多かった。
 と述べているが、ミトコンドリアDNA解析から、イキシマカワリヌマエビはミナミヌマエビ九州個体群の一地域集団だと考察されている。

ミナミヌマエビ

 Neocaridina denticulata denticulata De Haan, 1844

​ 陸封で直達発生型の生活史を持ち、湖沼やダムなどでも見られる。静岡県以西に分布している。低温耐性はまずまずであると考えられる。額角は長さに個体差が大きいが、先端に歯のない部分を持つ。河川中下流域で見られ、両側回遊性種と共に見られることも多い。タイプ標本は失われている。本属がヌマエビ類の中でも最も混沌としている。
 体色としてはクリーム色から黒褐色が多い。斑や線が僅かながら入る。メスは最大で30 mm程度になり、正中線に模様が入ることも多い。
 多摩川水系などでも見られるという情報があるが、これは本種ではなく外来ものである。まだ日本各地で移入のない純系個体群が細々と残っているが、外部形態で外来と区別がつかないため先行きは暗い。

カワリヌマエビの一種

 Neocaridina ssp.

​ 陸封で直達発生型の生活史を持つ。大陸からの移入種が日本には定着しており、各地で見つかっている。釣り餌の余り遺棄や観賞用の放流などが原因である。低温耐性はそこそこあると考えられる。ヌカエビと競合して圧す、ミナミヌマエビとは交雑が起きるなど問題が指摘されている。額角はこれといった特徴のない普通な感じ。外部形態による種の同定は困難を極める。
 大型個体は背に一本のラインが入ることが多い。体色はバリエーションが豊富でコンディションによる変化にも富む。
 水槽のコケ取り要員として用いられ、水槽内で殖えることから重宝される。ミナミヌマエビとして売られているものの多くはこの移入種であると考えられる。チェリーシュリンプもこの枠。
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